魅惑のノクトン(3)
「じゃあキミィ、土門拳はどうだい?」
南北問題から浅草のシアターまで、ひとりカウンターで
ビールを飲みながら博識を披露していたオジサンが話を振ってきた。
「土門、好きですよ!カッチリして隙のないところが」
この日は向島をぶらぶら撮り歩いて、
日が暮れたころでカメラを首から下げたまま
老夫婦のやっているこのモツ焼き屋に転がり込んだのだ。
8人掛けのカウンターは私が座って一杯になった。
「オレはよぅ、フーテンやってたからイロイロ知ってんだよ」
かなり酔ったらしく顔は真っ赤である。
カウンターの隅に座った私に、オジサンたちはみな優しかった。
by leica_m4m
| 2009-12-08 00:27
| Leica M
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