正方形×正方形

眠り

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カラスが鳴いて、日が西に傾くころ
いつものお客はやや早足で暖簾をくぐり抜け

大きな罐では次々と廃材が焼かれて
煙突からは やや控え目に煙が吐き出される

そんな日常が眠りについてから、もう半年が経つ。

瀟洒な玄関は すでに
薄っぺたなベニヤ板で塞がれてしまった。

懐かしい煙突でさえ もはや
梅雨空に突き立てられたコンクリートの塊に過ぎない。

廿世紀浴場(私的・煙突ランク9)
# by leica_m4m | 2008-06-23 23:51 | Leica M | Comments(2)

あかるいアンシツ

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今にも泣き出しそうな重い雲の下
3回目となる暗室ワークショップ(通称「喰っちゃ焼き」)が計画通り行われた。

首謀のash隊長を筆頭に、今回はスペシャルゲストを迎えての3人。
超地味な本企画に快く賛同してくれた
kawamutsukunさんは、
ハッセルを駆使して街を切り撮るスナップの名手である。

喰っちゃ焼きの趣旨に基づき、まずは築地市場で昼食。
いつになく多くのお客で賑わっていて、選り好みをしている状況ではなかったが
幸いカウンターの洋食屋さんに滑り込むことができた。
それぞれ、カツ丼、オムハヤシライス、カツカレーライスを食して準備万端。

築地本願寺裏の古い街並みを散策しながら暗室へと向かう。
まるで歩く動作と一体化したように次々とシャッターを切る隊長、
「いつもよりずっと軽快」と言いながらライツミノルタCLを構えるkawamutsuさん。
対照的に私は、絶好の被写体を横目に思うように撮れない不自由さをやや後悔していた。

ほぼ時刻どおりに暗室へ到着。
せっかく大荷物を抱えてきたのだから、ちゃんと焼かないとなー。
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さて、5時間に及ぶ格闘の末、得られた
成果は・・・。

階調の美しい端正なプリントを焼き上げていったのはkawamushuさん。
初めて使うというフォコマートⅡCの操作に最初こそ難儀していた様子だったが、
焼き始めてからは 惚れ惚れするような美しい印画を連発。
フィルムやレンズの性能を十分に引き出すと こういうプリントが得られるんだ
ということをまさに目の前で証明していただいた。うーん、勉強になります!!

ash隊長は、1カットを焼くのに2時間を費やす集中力を発揮。
最後は高濃度のネガを力づくで印画紙に定着させた。
独自の哲学を独自の方法論で固定化するには、
常人には想像できない力が要るのだと実感。
だから、焼く前に「喰う」ことが必須なのかと妙に納得したのであった(失礼!)。

私はと言えば、お気に入りのダースト引伸機の上位モデルを使わせてもらって
少し大きめのサイズにチャレンジ。大伸ばしのためにイーゼルを置く台を1段下げてもらった。

最初に焼いたポートレートを見てお2人の一言は「硬い~!」であったが、
すかさず「ノクトンって、開放ならポートレートでも使えますねー」とフォローを入れるところは
流石はkawamutsuさん、大人である(笑)。

多少苦戦したけれど、後半ペースを上げて結果的に10カット焼くことができた。
私の硬いプリントを見て、暗室オーナーのHさんは「バライタで焼いてみたら?」と
アドバイスをくれた。「あなたの写真は、バライタの方が合ってると思うよ」

階調表現には依然として課題を残したままだが、バライタが解決のヒントをくれるだろうか。
それ以前の問題として、フィルム現像の品質を上げないといけないことも明らかになった。
暗室作業をしてみて初めて発見できる事実は、意外に多い。

というわけで、また次回への楽しみが増えた。
kawamutsuさん、今回はありがとうございました。
ash隊長、試練の道はまだまだ続きます。(^^

正方形か長方形か
# by leica_m4m | 2008-06-22 18:24 | Leica M | Comments(4)

ビルディング

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今週末、再び暗室に入る。

20年ぶりに暗室入りしてから、今回が3回目。
暗室魂に火がついた という訳ではないと思うが、
しばらくは定期的に引き伸ばしをすることに決めている。

過去2回は四切だったけれど、
今回はもう少し大きなサイズにチャレンジする予定。
お手製の「白縁+黒縁焼き込みキット」、またつくらなきゃ。

今日はなんだか風邪気味、微熱もあるようだから
早く寝て 週末の5時間に及ぶ寡黙な作業に備えよう。


写真は銀座のとあるビル。
銅色に鈍く輝くプレート、「デ」と「ィ」のくっつき具合がいい感じ。
# by leica_m4m | 2008-06-19 18:08 | Leica M | Comments(2)

レトロフォーカス

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「レトロフォーカス」と呼ばれるレンズ構成には
何となく懐古趣味的な響きを感じてしまうが、
決して昔懐かしいレンズという意味ではない。

フィルム面すれすれまでレンズの後玉が接近する広角レンズは
ミラーアップ機能のない一眼レフでは使えなかったものだが、
長いバックフォーカスを可能にして
この問題を解決したのがレトロフォーカス型のレンズだ。
日本製一眼レフが勃興する前夜、1950年代の発明らしいから
十分にレトロを感じる時代ではある。

今では、「対象型の美学」と銘打ったノクトン35mmクラシックのように
「ダブルガウス型」のレンズでさえ昔懐かしい。
(構成的にはズミクロンの8枚玉と同じようだ)

ある雑誌の記事で、コシナの社長さんが
「この時代に、わざわざ性能の悪いレンズをつくるなんて…」と
不満たらたらの設計者をたしなめながらつくらせた

というような意味のコメントをしていたように記憶しているが、
さて、果たしてこれは「性能」なのか、「味」と評価すべきか…。

ノクトン35mmクラシックMCによる勝鬨橋の拡大画
# by leica_m4m | 2008-06-16 21:15 | Leica M | Comments(0)

ビバンダム

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以前の仕事場近くには、行きつけの蕎麦屋さんがあった。
天ぷらも美味しいし、魚もお酒も上等。
オーナーの板長がとても楽しい人で、女将さんは美人だった。

仕事場が変わってから3年ほど経つが、
顔なじみの店員さんが迎えてくれるお店はまだないなぁ。
銀座のビヤホールにはそれなりの頻度で通っていて
常連客とは顔馴染みになったが、店員さんとはなかなか・・・。

そういえば、ミシュランガイドに出るようなお店には
まず縁などないだろうと思っていたら、
知っている銀座のお店が2つも載っていて驚いた。
(なるほど~美味かったもんなぁ~)

でも、そういうお店には特別な日にしか行けないので、
残念ながら常連というにはほど遠い。

さて、とある公園に立っていたこいつは、
「やぁ、ミシュランマンじゃないか!」(黒いけど)
# by leica_m4m | 2008-06-14 22:14 | Leica M | Comments(5)

カタルマ

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送急カタマル?
いや、カタマルナ??

うーん
カルマ(業)とか
ダルマ(達磨)とかも
連想させる強烈な太文字。

あ、カタルマ か!!

ところで カタルマ ってなんだ?

正解は・・・
# by leica_m4m | 2008-06-12 21:20 | Leica M | Comments(2)

牛つながり

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父の実家では、かつて牛を飼っていた。

夏休みに帰郷すると、尻尾でハエを叩く器用な動作を
感心しながら眺めたものだ。

ある日、従兄と一緒に牛小屋に行くと
小ぶりのスイカが山と積まれていた。
100個とまではいかないが かなりの量だったと思う。

誰もいないのをいいことに、従兄と私はスイカを牛に食べさせてみた。
そしたら、食べる食べる どんどん食べる。
いよいよ面白がって食べさせ続けたら、
スイカの山はいつの間にか半分くらいになっていた。

直後、牛小屋を覗きに来た伯父さんに
コテンパンに怒られたのは言うまでもない。


写真は築地本願寺にて。
ウシ撮るウシろ姿を撮られてしまった(笑)。
# by leica_m4m | 2008-06-10 20:13 | Leica M | Comments(2)

原子心母

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ピンク・フロイドは好きじゃなかった。

クリムゾンのようなダイナミズムを感じなかったし
テクニックではイエスに遠く及ばない。
EL&Pのような疾走感も構築美もなかった。

でもジャケットデザインはかなりクール(クレイジー)だった。
「Wish You Were Here」ではホントに人に火をつけたらしいし
「Animals」では発電所の上空に豚の気球を飛ばしてど肝を抜いた。

しかし、アートワークを「Hipgnosis」が手がけたピンク・フロイド作品の中でも
最も強烈なビジュアルはこれだろう。

「原子心母」

邦題も秀逸(というより驚くべき直訳という感じ)だが、
その原題はズバリ「Atom Heart Mother」である。


好きじゃなかったピンク・フロイドだが、
今ではカラオケで「Shine On You Crazy Diamond」を歌うほど。


*写真は本文とまったく関係ありません。

恐るべきジャケット
# by leica_m4m | 2008-06-08 23:36 | GRD | Comments(4)

儚い

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数年ぶりに訪れた佃島は、
記憶とほとんど変わらない風情を残していたけれど
ひとつだけ大きな違いがあることに気がついた。

島の真ん中を貫くメインストリートとその周辺の主な道が、
アスファルトではなく綺麗に化粧直しされていたのだ。

佃煮屋さん、駄菓子屋さんの前で感じた
ちょっとした違和感はそのせいだったのかも。


でも、銀座から歩ける距離にこんな街があるっていい感じ。
高所得者になった暁には、ぜひ住まいたいところだ。
(にんべんに夢と書いて「はかない」と読む・苦笑)

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ちょっと懐かしい看板
# by leica_m4m | 2008-06-06 18:50 | Leica M | Comments(6)

止まった時間

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たくさんの観光客でごった返す築地市場。
週末の昼ともなれば3時間待ちという人気のお店もあり
ちょっとしたブームの様相を呈している。

低いエンジン音を響かせて走るターレットや
魚の詰まったケースを山と積んだフォークリフトが行き交う
そんな仕事の現場だから、余所者がボヤボヤしていると危ない。

豊洲移転が揺らいでることを含め、築地市場はいろんな問題を抱えたままだ。
昭和10年築という老朽化した設備や、流通大手による現地買付の増加などもあって
築地市場による市場支配力が弱まっているとの話も聞く。

だから、関係者にとっては築地市場への注目が高まったり
外からのお客が増えることはいろんな意味で歓迎なのだろう。
観光客が横に一列で道を塞いでいても、
以前のように怒鳴っている光景は目にしなくなった。


さて 高く積まれたこの物体は…
大きな壁掛け時計にも見えるが、棄てられた計量秤である。

その場所だけ時間が停止していた。
棄てられた秤たちの、その重さで針が振れている。

夜の築地市場
# by leica_m4m | 2008-06-03 12:30 | Leica M | Comments(2)